「保育士は女性のイメージがあるけど、男性の保育士はどれくらいいるの?」
「男性の保育士の現状を知りたい!」
「男子保育士のキャリアについてもっと知っておきたい!」
このように男性保育士の現状について気になっている方に向けた記事です。
本記事では、男性の保育士について解説します。
- 男性の保育士についての現状
- 男性と女性の保育士の違いについて
- 男性保育士のキャリアについて
男性の保育士についての現状
男性の保育士は全体の1割未満
男性の保育士についての現状を知る上で、男性保育士の数を知っておく必要があります。
ここでは、保育士全体で見たときの男女比率を見ていきます。
厚生労働省の資料(※1)によると、職員男女比率は男性が約4%、女性は約96%という結果になっています。
また、厚生労働省が発表している資料を見ても、令和2年時点で女性保育士約158.3万人、男性が約8.2万人です。
現状の保育士男女比率は、圧倒的に女性が多い職場であることがわかるでしょう。
※1:保育士の現状と主な取組
※2:保育士登録者数等(男女別)
男性の保育士が少ない理由
では、なぜ男性保育士は圧倒的に少ないのでしょうか。
大きくは下記の2点が挙げられます。
- 社会的なイメージ
- 給料の少なさ
冒頭でもお伝えした通り、「保育士」という名称の前は「保母」で親しまれており、女性の職業というイメージが強くありました。
そこから保育士という名称に変更されたものの、いまだに保育士=女性の職業というイメージは色濃く残っているのが現状です。
また、給料についても同様で、保育士=給料が少ないというイメージが強く、男性が保育士を目指さない理由の一つになっています。
給料の詳細は後述しますが、男性の職種としては低い給与水準に留まっており、男性の割合が低い一つの要因なのです。
保育士の男女で給料に差はある?
女性が多い保育士ですが、男性と女性の間に給料の差はあるのでしょうか。
令和3年に公開された賃金構造基本統計調査(※1)をもとに、保育士の給料に男女差があるのかを見れます。
男性と女性の保育士を年齢別で分けて、月収とボーナス(その他特別給与)、労働者数を表したものを確認できます。
データを見ると、給与に関しては男女間でそこまで大きな差はないことがわかります。
年齢が上がっていくにつれて給料も上がり、長く働き続けられる職業として魅力もあるでしょう。
男性保育士のメリット・デメリット
ここでは、男性保育士であることのメリットとデメリットの両方をご紹介します。
女性が多い職場ですが、男性ならではの強みが活かせるメリットも多いです。
男性保育士のメリット
女性がほとんどの環境では、女性だけでは解決することが難しい問題も多々あります。
それに対応できる男性特有のメリットを下記の4つご紹介します。
力仕事などの得意分野がある
特に女性環境の職場では、力仕事は非常に負担の大きい業務になります。
そのような場面では、身体的特徴として男性の方が向いています。
行事の準備や日常的な備品の整理、子どもの世話など活躍できるシーンも多いです。
男児の世話に対応できる
子どもといっても元気に走り回ったり、砂遊びをしたりパワフルな園児ばかりです。
他にも、公共施設を利用する場合は、男性トイレへの付き添いなど女性が入れない場所の対応もできます。
運動に関しても、男性の方が得意な部分も多いため、体力的に頼りにされることも多いでしょう。
防犯面で期待される
園内外に問わず、子どもたちの安全を確保する上で、不審者などへの防犯対策は必須です。
女性のみの職場では、いざという時の対応が心配に感じる場合もあるでしょう。
「男性がいる」という事実が職員・保護者間での安心につながります。
父親との信頼関係を築きやすい
近年、父親が率先して育児に参加するケースも増えていることから、送り迎えを担当する父親も少なくありません。
その場合、同性の職員がいるだけでも心理的なハードルが下がり、交流を図りやすくなります。
また、女性職員には話しづらい事情などもあるため、気兼ねなく相談できる相手として男性保育士が重宝されるケースもあるでしょう。
男性保育士のデメリット
男性が保育士になるメリットをいくつかご紹介してきましたが、デメリットもあります。
事前に下記の4つのデメリットを知っておくことで良好な職場環境にしていくこともできます。
人間関係に苦労しやすい
女性が9割を超える保育士業界では、男性保育士は肩身が狭い思いをするケースも少なくありません。
閉鎖的な空間であり、女性保育士の輪の中に入りづらく疎外感を感じやすくなります。
そのため、職員同士の人間関係にストレスを感じることもあるでしょう。
挨拶や誠実な対応を忘れず、日頃からコミュニケーションを大切にするのが大切です。
保護者からの信頼を得るのが難しい
男女関係なく起こることですが、保護者の中には男性保育士を警戒している方もいます。
特に女児の対応には評価の目が厳しいことが多いようです。
これは、過去にあった犯罪事件などが影響していると考えられます。女性の職員と比べて、不適切な対応がないかを問われやすいため、常に誠実かつ丁寧な対応が求められるでしょう。
施設内に男性用の設備がないことも
特に小さな保育施設で発生しやすいのが、男性が必要な設備が施設内に整っていないケースです。
例えば、トイレや更衣室が共用になっているなど、女性のみを対象とした設計になっていることも少なくありません。そのため、男性保育士にとっては不便であると同時に、施設利用を制限される可能性もあります。
働きづらさを感じる場合は、男性保育士が多い施設に就職・転職するなどして職場を選ぶのも選択肢の一つでしょう。
他職種と比べて給料が少ない
男性における全職種平均の年収が約506万円に対し、保育士は約392万円という数字に留まっています。
家庭的なイメージがある保育士は、社会的な評価が低くない反面、給料面においてはかなり下回っていることがわかります。
また、年齢によって給料が左右される場合も多く、成績や給料がモチベーションになる方にとってはデメリットに感じるでしょう。
しかし、近年の保育士不足を受けて、国も待遇改善や支援を進めています。
さらに、主任保育士や管理職などの役職に就くことで、給料アップを目指せるでしょう。
保育士に向いている男性の特徴
ここまで男性保育士の給料やメリットなどに就いてみてきました。
では保育士に向いている男性はどんな方なのか気になりますね。
ここでは、保育士に向いている男性の特徴を紹介します。
子どもと関わることが好きな人
男女問わずですが、「子どもが好き」「子どもと関わることが好き」という方に向いているお仕事です。
子どもと遊んだり、何かを教えることに前向きに取り組める方なら、保育士に向いていると言っていいでしょう。
忍耐力があり柔軟な対応ができる人
子どもとのやりとりは意思疎通が難しい部分もあり、思った通りに子どもたちが動いてくれるということも少ないため、忍耐力が必要な仕事です。
また、試した方法でうまくいかなくても、他の方法でやってみようという柔軟な対応も求められるでしょう。
子どもだけでなく、保護者にも柔軟な対応ができる方が求められます。
責任感のある人
保育士は、子どもをお預かりし、その安全を守っていく必要があります。
怪我しないように気を配ることはもちろん、子どもが誤った行動をした場合には叱ることも重要です。
命を預かっているという責任を持って仕事に取り組める方ではないと保育士は務まりません。
男性保育士のキャリアについて
男性保育士がどのようなキャリアを描いていくのかが気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
男性保育士の人数が少ないため、モデルケースも少ないですが、男性保育士の一般的なキャリアについて解説します。
働いている保育園の中で役職に就く
男性の保育士としてキャリアを形成していく一つの方法として、働いている保育園の中で役職につくことです。
保育園の中でも、園長・主任・副主任・専門リーダー・分野別リーダーのように役職が分かれており、園内で昇進する制度があるところもあります。
園内で昇進して、より保育園の経営に近いところで仕事をするというキャリアも考えられます。
保育園の経営をする
保育士としてある程度キャリアを積んだ後に、独立して自分で保育園を経営するということもできます。
保育士としてのノウハウがあるので、経営のノウハウを勉強する必要がありますが、保育園で働いている期間に園長や独学で学ぶことは可能です。
経営が心配な場合は、小規模の保育園から始めるなど、リスクが少ない状態で保育園経営を開始すると良いです。
保育士の経験を活かした仕事に転職する
男性保育士のキャリア形成の選択肢の一つとして、保育士の経験を活かした仕事に転職するという方法もあります。
保育士の経験や保育士資格を持っていることで、保育士以外の仕事で優遇されることがあります。
保育士としてのキャリアの進め方に不安がある方は、他の職種への転職を検討してみても良いのではないでしょうか。
まとめ
本記事では、男性保育士のキャリアについて解説しました。
男性の保育士は、保育士全体の1割にも満たない人数ではありますが、男性保育士ならではの強みを活かした仕事ができるため、常に必要とされている存在です。
男性保育士のキャリアに関しても、保育士の経験やスキルを活かすことで、多方面で活躍できるようになってきています。
男性保育士がまだまだ少ない環境ではありますが、深刻な保育士不足もあり、努力次第で活躍できる業界です。
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